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情報処理の形態とシステム構成



情報処理の形態とシステム構成
  1. データ処理の形態
  2. システム構成と信頼性
  3. 集中処理方式と分散処理方式

     
 情報処理の形態体系                  システムの信頼性体系
     |                                |
     |–センターバッチ処理システム             
|–平均故障間隔(MTBF)

     |                                |
     |–リモートバッチ処理システム              
|–平均修復時間(MTTR)

     |                                |
     |–リアルタイムシステム                                     
|–稼動率
     |                                |
     |–タイム・シェアリングシステム            
|–RASIS

 システム構成体系
     |
     |–シンプレックスシステム
     |
     |–デュプレックスシステム
     |
     |–デュアルシステム
     |
     |–マルチプロセッサシステム
     |
     |–タイム・シェアリングシステム
     |
     |–ロードシェアシステム


1.データ処理の形態


   データ処理形態
      |
      |–オフライン処理
      |    |
      |    |–センターバッチ処理システム
      |
      |–オンライン処理
           |
           |–リモートバッチ処理システム
           |
           |–リアルタイムシステム
           |
           |–タイムシェアリングシステム
  • センターバッチ処理システム

     バッチとは、一束あるいは一括という意味である。バッチ処理は、一定期間または
    一定量蓄えられた入力データをひとまとめにして処理する形態であり、一括処理とも
    呼ばれている。

    (1) 通常のセンターバッチ処理

        通常のセンターバッチ処理は、利用部門において発生したデータが、入力帳票に
       記入されて定められたスケジュールでセンターへ送付されるバッチ処理である。

    (2)
    オフラインシステムによるセンターバッチ処理

        オフラインシステムとは、データを入力するための周辺装置などが、コンピュータ
       の中央処理装置(CPU)と直接結ばれていないシステムのことをいう。
        このシステムでは、遠隔地にある利用部門でデータを入力し、磁気テープや
       フロッピーディスクの作成を行う。そして、データを伝送装置から通信回線を経由
       してセンターへ伝送する。センターでは、こうして伝送されたデータを磁気テープや
       フロッピーディスクに記録し、この磁気媒体をオペレータが運搬する。このステップが
       人手を介しているのでオフラインシステムということになる。

    (3)
    データ収集システムによるセンターバッチ処理

        オンラインデータ収集システムは、遠隔地の利用部門で入力したデータを通信
       回線経由でセンターへ伝送し、磁気ディスクや磁気テープに記録するシステムで
       ある。
        そして、このようにして収集されたデータが一定量あるいは一定期間分になると、
       センターバッチ処理によって一括処理を行う。

  • リモートバッチ処理システム

     リモートは遠隔という意味から、リモートバッチ処理システムは、遠隔地の利用部門の
    端末装置から、データの入力と処理要求を行うためのジョブ起動を行い、それらを通信
    回線経由でセンターのコンピュータへ伝送するシステムのことをいう。

  • オンライン・リアルタイムシステム

     端末装置などの周辺装置がコンピュータの中央処理装置と直接接続されている状態
    をオンラインという。オンライン・リアルタイム処理は、遠隔地などの利用部門の複数の
    端末装置とセンターのコンピュータとが通信回線で直結されていて、端末装置からデータ
    の入力を行うと、即時に処理を行い、処理結果を短時間で端末装置から出力する
    処理形態である。

    (1) 照会応答方式

        照会応答方式のオンライン・リアルタイムシステムは、利用者が端末装置から
       条件を指定して検索(照会)を行い、その検索結果を即時に端末装置へ出力する
       システムである。

    (2) 取引データ処理方式

        取引データ処理方式は、取引(トランザクション)データが発生したつど、利用部門
       の端末装置からデータを入力し、センターのコンピュータのデータベースを最新の
       状態に更新し、処理結果を利用者側の端末装置に即時に表示する方式である。

    (3) メッセージ交換方式

        メッセージ交換方式は、利用部門の端末装置からメッセージを入力し、他の
       遠隔地にある端末装置を指定して、メッセージを通信回線経由で送付する方式
       である。センターのコンピュータでは、メッセージをファイルに蓄積する場合と、
       処理を加える場合とがある。

  • タイム・シェアリングシステム

     タイム・シェアリングシステムは、時分割処理あるいは略してTSSともいう。
    タイム・シェアリングシステムは、多数の利用者が、端末装置から、センターの
    コンピュータを独自に異なる目的で同時に利用することができる共同利用の形態
    である。

2.システム構成と信頼性


   システム構成
      |
      |–シンプレックスシステム
      |
      |–デュプレックスシステム
      |
      |–デュアルシステム
      |
      |–マルチプロセッサシステム
      |
      |–タンデムシステム
      |
      |–ロードシェアシステム
  • シンプレックスシステム

     シンプレックスシステムは、単一システムとも呼ばれている。このシステムは、1台の
    コンピュータの中央処理装置に補助記憶装置と通信制御装置(CCU)を接続した
    システムである。

  • デュプレックスシステム

     デュプレックスシステムとは、建物などが重層式になっていることをいう。
    デュプレックスシステムは、2台の中央処理装置を設置するシステムである。この場合、
    2系統のうちの一方の系統で、オンラインリアルタイム処理を行っていて、もう1系統を
    バッチ処理用または待機用とするケースが多い。

  • デュアルシステム

     デュアルシステムとは、二重の意味である。デュアルシステムは、2台の中央処理装置
    が同一の処理を同時に平行して行い、実行結果を相互に照合するシステムである。
    このシステムでは、処理結果の比較・照合を行っているため、障害が発生しても故障
    したほうのシステムを切り離し、もう一方のシステムで処理を続行できるようになっている。

  • マルチプロセッサシステム

     マルチとは、多くのという意味である。マルチプロセッサシステムは、複数の中央処理
    装置が、主記憶装置や補助記憶装置を共通に使用し、複数の処理を同時並行で処理
    するシステムである。

  • タンデムシステム

     タンデムとは、縦列という意味である。タンデムシステムは、複数の中央処理装置を
    直列(縦列)に接続し、それぞれが専門の機能を果たすシステムである。

  • ロードシェアシステム

     ロードシェアとは、負荷の分散のことである。ロードシェアシステムは、ある業務の情報
    システムの処理を行う場合に、複数のコンピュータを使用して負荷を分割(分散)する
    システムである。

  • システムの信頼性の尺度

     システムの信頼性とは、コンピュータシステムや、機器などの機能単位が、一定の条件
    のもとで、一定期間安定して作動し、要求された機能を遂行する能力のことをいう。

    (1) 平均故障間隔(MTBF)

        平均故障間隔は、MTBFともいい、システムを構成する機能単位の寿命内の
       一定期間において、一定の条件下での、故障と故障との間の時間の平均値の
       ことである。

    (2) 平均修復時間(MTTR)

        平均修復時間は、MTTRともいい、システムを構成する機能単位の寿命内の
       一定期間において、故障後回復するまでの平均時間のことである。つまり、事後
       保守のために要する時間の平均値であり、値が小さいほどよいことになる。

    (3) 稼動率

        稼動率は、可用性を表すのに用いられる指標である。システムの可用性とは、
       システムを構成する機能単位が、要求された機能を全部果たして正常に動作
       している時間の割合のことをいう。システムの可用性を高めるためには、システム
       の故障が少ないことや、故障の修復時間が短いことなどが必要である。

        稼動率は、平均故障間隔(MTBF)と平均修復時間(MTTR)を使って、
       次の式で示すことができる。

                        MTBF
           稼動率 = ————————-
                   (MTBF + MTTR)

    (4) RASIS

        コンピュータシステムのハードウェア、ソフトウェアの両面における信頼性の概念
       としてRASISがある。これは、次の用語の頭文字をとったものである。

       ①Reliability(信頼性)
          システムや機器などの機能単位が、一定条件のもとで一定期間、安定して
         処理を実行する能力。

       ②Availability(可用性)
          システムや機器などの機能単位が、正常な状態で動作している時間の割合。
         システムの故障が少なかったり、修理時間が短い場合などは可用性が高まる
         ことになる。

       ③Serviceability(保全性)
          システムや機器などの機能単位に障害が発生した場合に、補修などを行う
         ことにより、いかに早く回復できるかどうかの度合を示す尺度。

       ④Integrity(完全性)
          処理プログラムやデータなどが完全であることの度合。入力データのチェック、
         処理プログラムのテストなどは、この完全性を高めるために行われている。

       ⑤Security(安全性)
          システムを障害悪用、誤操作などから保護する対策技術のこと。ハードウェア
         の故障としては、破壊、災害などがあり、ソフトウェアの障害としては、データの
         破壊、データの不正使用などがある。

 


3.集中処理方式と分散処理方式
  • 集中処理方式


     システムの集中処理方式は、コンピュータセンターに1台の大型のホストコンピュータ
    を設置し、複数の専用端末装置を通信回線で接続し、全データをホストコンピュータで
    処理する方式である。
  • 分散処理方式

     分散処理方式は、インテリジェントターミナルを必要な場所に配備し、それらを通信回線
    で接続し、互いにデータ処理の分割を分担しながら、全体として機能する方式である。

    (1) ハードウェア資源の分散

        全社のさまざまな利用部門に、ワークステーション、パソコンなどのハードウェアを
       分散して配備することをハードウェア資源の分散という。

    (2) ソフトウェア資源の分散

        支店、工場などの遠隔地の利用部門で、頻繁にアクセスする必要があるような
       ファイルを、利用部門の中小型のコンピュータに分散して記憶することなどを
       ソフトウェア資源の分散という。

    (3) 人的資源の分散

        集中処理方式では、情報システムの開発・運用などはl、情報システム部門で
       集中的に行われる。それに対して、分散処理方式では、利用部門における実務
       担当者と、情報処理の知識をもったシステムの管理担当者とが共同でシステムの
       開発・運用にあたる。このことによって利用部門のニーズに合った情報処理を行う
       ことが可能になる。

    (4) システム資源の共有化

        分散処理方式では、システム資源の分散を行うだけでなく、システム資源の
       共有化も行われている。

    (5) 分散処理システムの形態

        分散処理方式は、構成方法からみて次のように分類される。

       ①垂直型分散処理
         コンピュータを上位のものと下位のものとに区分し、階層的なネットワークを
        構築する場合を垂直型分散処理という。

       ②水平型分散処理
         複数のコンピュータをほぼ同一レベルで接続したネットワークの状態を
        水平型分散処理という。

       ③混合型分散処理
         垂直型と水平型をあわせた形態のことを混合型分散処理という。