システムの信頼性の尺度
システムの信頼性とは、コンピュータシステムや、機器などの機能単位が、一定の条件
のもとで、一定期間安定して作動し、要求された機能を遂行する能力のことをいう。
(1) 平均故障間隔(MTBF)
平均故障間隔は、MTBFともいい、システムを構成する機能単位の寿命内の
一定期間において、一定の条件下での、故障と故障との間の時間の平均値の
ことである。
(2) 平均修復時間(MTTR)
平均修復時間は、MTTRともいい、システムを構成する機能単位の寿命内の
一定期間において、故障後回復するまでの平均時間のことである。つまり、事後
保守のために要する時間の平均値であり、値が小さいほどよいことになる。
(3) 稼動率
稼動率は、可用性を表すのに用いられる指標である。システムの可用性とは、
システムを構成する機能単位が、要求された機能を全部果たして正常に動作
している時間の割合のことをいう。システムの可用性を高めるためには、システム
の故障が少ないことや、故障の修復時間が短いことなどが必要である。
稼動率は、平均故障間隔(MTBF)と平均修復時間(MTTR)を使って、
次の式で示すことができる。
MTBF
稼動率 = ————————-
(MTBF + MTTR)
(4) RASIS
コンピュータシステムのハードウェア、ソフトウェアの両面における信頼性の概念
としてRASISがある。これは、次の用語の頭文字をとったものである。
①Reliability(信頼性)
システムや機器などの機能単位が、一定条件のもとで一定期間、安定して
処理を実行する能力。
②Availability(可用性)
システムや機器などの機能単位が、正常な状態で動作している時間の割合。
システムの故障が少なかったり、修理時間が短い場合などは可用性が高まる
ことになる。
③Serviceability(保全性)
システムや機器などの機能単位に障害が発生した場合に、補修などを行う
ことにより、いかに早く回復できるかどうかの度合を示す尺度。
④Integrity(完全性)
処理プログラムやデータなどが完全であることの度合。入力データのチェック、
処理プログラムのテストなどは、この完全性を高めるために行われている。
⑤Security(安全性)
システムを障害悪用、誤操作などから保護する対策技術のこと。ハードウェア
の故障としては、破壊、災害などがあり、ソフトウェアの障害としては、データの
破壊、データの不正使用などがある。